戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、科学技術イノベーション総合戦略及び日本再興戦略に基づいて創設された内閣府主導の国家プロジェクトです。SIP第3期では、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が、Society 5.0の実現に向けてバックキャストにより、社会課題の解決や日本経済・産業競争力にとって重要な課題を設定し、そのプログラムディレクター(PD)・予算配分をトップダウンで決定しています。産学官連携により、府省連携が不可欠な分野横断的な取り組みを基礎研究から社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進するプロジェクトです。
SIP第3期は14の課題があります。NEDOは第3期の3つの課題について、研究推進法人として単独あるいは他機関と合同で研究開発の進捗管理等、当該プログラムの運営を支援しております。本ページは、3つの課題のうちの一つである「人協調型ロボティクスの拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」の活動紹介となります。
目指す社会・将来像
世界に類を見ない超高齢社会にある我が国の社会課題への対策は急務となっています。日本においては高齢者人口割合の増加と労働人口割合の低下が進んでおり、2025年には高齢化率30%に達すると予想されています。それに伴い、激増する高齢者や子育てなどによる生活の自由度の低下、高齢化による自立度の低下など生活における諸問題が深刻化すると考えられます。これら将来の問題を見据え、我が国では外国人労働者の雇用や各種サービスの拡充などの対策に取り組んでいますが、継続的な労働者の確保や、広域にわたる充実したサービス提供の継続等、難易度の高い課題が懸念されています。
このような状況下で、高齢者・弱者の支援や子育てなどにより生活スタイルや働き方が多様化していく中で、世代を超えた人々の自立度・自由度を高め、生活(職場を含む)における諸問題を解決できる安心安全な社会の実現が求められています。
上記の社会課題も踏まえ、Society 5.0は、サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会の実現を目指します。これまでの情報社会(Society 4.0)では分野横断的な連携が不十分であるという問題があり、労働や行動範囲に年齢や障がいなどによる制約があること、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して十分に対応することが困難であること等の課題がありました。これに対しSociety 5.0では、IoH/IoTやAI、ロボットや自動走行車などの技術を活用してこれらの課題や困難を克服することで、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会を目指します。
ミッション
高齢者・弱者の支援や子育てなどにより生活スタイルや働き方が多様化していく中で、世代を超えた人々の自立度・自由度を高め、生活(職場を含む)における諸問題を解決できる安心安全な社会の実現に向けて、HCPS融合人協調ロボティクス(「人」+「サイバー・フィジカル空間」融合人協調ロボティクス)を社会実装することを目的として、当課題全体を一体的に連動させながら取り組みます。
2025年度には、ミッション達成に向けて、HCPS融合人協調ロボティクスに必要な基盤技術の到達度評価及びこの段階での基盤技術のサブ課題の関連技術を連動させたシステム化・運用技術評価など社会実装関連技術の評価を行います。また、当課題のミッションを達成するための取り組みとして、2025年度までに「人」+「サイバー・フィジカル空間」を扱う人協調ロボティクスの推進(人材育成を含む)のための当該領域の開拓(人材育成を含む)を推進する協会(新産業推進連携体:関連企業、保険会社、建設会社、関連協会等)を始動させ、全方位的(導入促進ルール、民間保険等の整備を含む)に当課題が力強く推進力を持って機能するよう試み、2027年度を目処にユースケースに対応したシステムについて海外を含む10拠点以上で社会実装・実運用を開始します。実運用からのフィードバックを通して持続的・発展的経済サイクルの構築に向けたイノベーション創出ループが回っている状態にします。そして、2033年度頃までには、国内外で30拠点以上の事業推進へと発展させ、当該取り組みの垂直展開に加え、他の領域への水平展開(「経済/安全保障」などが複合的に連動)へと拡大させます。多様な領域を包括するライフイノベーションへの取り組みとして、このような好循環のスパイラルを経ながら、世界をリードし続ける官民一体の更なる戦略的イノベーションへと繋いでまいります。
社会実装に向けた戦略及び計画
本課題の「社会実装に向けた戦略及び計画」は以下をご覧ください。
社会実装に向けた戦略及び研究開発計画