戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は、科学技術イノベーション総合戦略及び日本再興戦略に基づいて創設された内閣府主導の国家プロジェクトです。SIP第3期では、内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が、Society 5.0の実現に向けてバックキャストにより、社会課題の解決や日本経済・産業競争力にとって重要な課題を設定し、そのプログラムディレクター(PD)・予算配分をトップダウンで決定しています。産学官連携により、府省連携が不可欠な分野横断的な取り組みを基礎研究から社会実装までを見据えて一気通貫で研究開発を推進するプロジェクトです。
SIP第3期は14の課題があります。NEDOは第3期の3つの課題について、研究推進法人として単独あるいは他機関と合同で研究開発の進捗管理等、当該プログラムの運営を支援しております。
目指す社会・将来像
Society 5.0として目指す将来像は、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)です。Society 5.0を具現化するためには、防災・ヘルスケア・コミュ二ティ・インフラなど様々な場面においてサイバー空間とフィジカル空間が相互に連携するバーチャルエコノミー圏の創出が不可欠であると考えています。
メタバースなどに代表される仮想空間サービスは、世界経済を牽引するGAFAMも参入し、今後、100兆円を越える巨大な市場になると予測されており、現在はまさしくサイバー空間を活用した経済圏「バーチャルエコノミー」の拡大期にあります。特にコロナ禍によるサイバー空間の利用者増加とそれに伴う利用者のリテラシー向上、アクセシビリティの高まりなどが仮想空間サービス市場の拡大を後押ししています。
我が国の強みとは、サイバー空間、フィジカル空間双方とのインタラクションにより、フィジカル空間の身体情報をサイバー空間に持ち込み、そこで価値を生成することにとどまらず、その価値をフィジカル空間に還流させられることにあり、まさにこの「フィジカル空間への価値の還流」こそ日本の勝ち筋となりうると考えています。そのため本課題「バーチャルエコノミー拡大に向けた基盤技術・ルールの整備」では、サイバー空間とフィジカル空間を連接するインターバースを注力領域として、従来の業界・分野の枠を超えた府省連携による基礎から社会実装までの一気通貫の取組により、バーチャルエコノミーにおいて我が国が世界をリードすることを目指します。
ミッション
サイバー空間からフィジカル空間への価値還流を通じて豊かな暮らしを実現するとともに、国内バーチャルエコノミー圏を創出し、本領域において我が国が世界をリードすることをミッションとしています。フィジカル空間での我が国の強みを活かしながら、サイバー空間利用における国際競争力の強化や国際連携、サイバー空間を活かしたリアル産業の付加価値向上、サイバー空間における利用者への弊害防止などを推進し、Society 5.0の実現に寄与します。これらの市場創出までをSIP第3期のターゲットとしているため、サイバー空間におけるフィジカル空間の体験を拡張するための技術開発をプログラムの中核とすることだけでなく、その社会実装まで見据えた標準化・ルール整備、事業開発の基盤となるユースケースの実証実験、それらを支える人材育成までもミッションの一環として捉えています。
さらに、ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)への対策や、各種情報発信によるPublic Relationshipの構築などによる社会受容性の醸成にも取り組みます。
社会実装に向けた戦略及び計画
本課題の「社会実装に向けた戦略及び計画」は以下をご覧ください。